舞踏会へ向かう三人の農夫 上 (河出文庫) /  リチャード・パワーズ (著) 柴田元幸 (翻訳) (河出書房新社)

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時は1914年、プロイセン、ラインラント地方の5月1日。牛車に固められたあぜ道を、若い3人の男たちが歩いてくる。3人ともシルクハットにスーツ、ステッキと盛装だが、どこかぎこちなさそうでもある。鼻歌混じりに歩く彼らに、ゲートル姿の中年男が声を掛ける。

男の名はアウグスト・ザンダー、ドイツの偉大な写真家である。彼が撮ったこの3人の農夫たちのポートレイトが、そこに写された3人の以後の数奇な運命を、また現代アメリカにあってこの写真に取り憑かれた男の探究譚を、さらに謎の女性を追い求める雑誌編集者の物語を、ゆるやかに、またスリリングにトレースしていく……

現代アメリカ文学きっての若き鬼才、リチャード・パワーズは、この魅力的な設定と方法のもとに、驚異的な博識と思考力、卓抜なユーモアを駆使し、壮大な20世紀のドラマを構築してみせる。メキシコの画家リベラから自動車王フォード、サラ・ベルナール、ニジンスキー、アインシュタインに至るまで、文学・科学・大衆文化など多様なジャンルを縦横に駆け抜け、血と殺戮の20世紀を根源から問う衝撃の物語。

20代半ばにして、恐るべき才能を遺憾なく発揮したこの処女長篇小説『舞踏会へ向かう三人の農夫』を、定評ある柴田元幸の名訳で、心ゆくまでたっぷりと楽しんでいただきたい。

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