心は孤独な狩人 (新潮文庫)  / カーソン・マッカラーズ (著), 村上 春樹 (翻訳) (新潮社)

¥1,155

暗く長い夜と重い沈黙。そこに小さな希望はあったのか――。マッカラーズ23歳の鮮烈なデビュー作を長年愛読してきた村上春樹が新訳!

1930年代末、大恐慌の嵐が吹き荒れるアメリカ。南部の町のカフェに聾啞の男シンガーが現れた。店に集う人々の痛切な告白を、男はただ静かに聞き続ける。貧しい家庭の少女ミック。少女に想いを寄せる店主ビフ。流れ者の労働者ジェイク。同胞の地位向上に燃える黒人医師コープランド……。だが、シンガーの身に悲劇が起きると、報われない思いを抱えた人々はまた孤独へと帰っていくのだった。著者の鮮烈なデビュー作にして最高傑作、待望の新訳。

在庫1個

説明

訳者あとがきより
マッカラーズの小説世界は、言うなれば個人的に閉じた世界でもある。それはマッカラーズによって語られ、描写されるマッカラーズ自身の心象世界だ。そこに出てくる人々は、それぞれの異様性を背負い、それぞれの痛みに耐え、欠点や欠落を抱えつつ、それぞれの出口を懸命に探し求めている。

しかし多くの場合、その出口は見当たらない。そしてその「出口のなさ」にこそ、実はマッカラーズの小説作品の真骨頂みたいなものがある。その世界における夜は暗くて長い。とはいえ夜はもちろんいつか明けて、朝が訪れる。しかし朝は来ても、そこで明確な解決策が示されるわけではない。人々はそのような宙ぶらりんの状態に置かれたまま、新たな夜の到来を待つことになる。僅かな――しかしきらりと小さく光る――希望を持って。

出版社 ‏ : ‎ 新潮社; 文庫版
発売日 ‏ : ‎ 2023/9/28
言語 ‏ : ‎ 日本語
文庫 ‏ : ‎ 608ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4102042032
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4102042038


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