第一回「山崎ブッククラブ」(読書会)無事開催できました。

今回の本はポール・オースターの「オーギーレンのクリスマスストーリー」。

一回目だし、すぐ読めて季節にあった楽しい話(意外とそうでもないことが判明する)をという事で
この本を選択しました。もちろん僕が作者のポール・オースターのファンだからという理由もあります。

自分含めて、4名様ぐらい来ていただけたら有難いな、と思っていたら7名様に来ていただけました。
大入りです。有難うございます。おかげさまでとても楽しい時間が過ごせました。

さて、せっかくなので、会でどんな話が出たのかをざっと書いておきたいと思います。
記憶違い・記憶忘れもあると思いますが、その辺りはご容赦を。箇条書きです。

・今、現実のブルックリンの地図が飛び出す。この話に書かれている場所が本当にあるかどうかgoogle mapで確認した。
結果「本当にある」しかしオーギーの葉巻屋は残念ながら見つからなかった。看板がちがうね。

・イラストにもある大きな建物は今現在もあった。位置もあってる。作者は地理を把握しているようだ。

・昼飯おごりの「パストラミサンド」はかなりのボリューム。おそらく一人で食いきれない。

・「ヘルメットかぶった女性の話」ごく最近身近に起こったこれと似た話。「どうでもよい」事の重なりで我々の人生はなりたっている。

・おばあさんが騙されてかわいそう。心底がっかりしたんじゃなかろうか。良い話とは思えない。気の毒。抱きしめた瞬間に孫は他人だとぜったい分かるよ。

・この話は時系列の辻褄があってない。わざとそうしてる?オーギーは、この話ははっきり嘘だというヒントを仕込んでいる。実は作家のポールに代筆してもらって、新聞にこの話が乗るのを楽しみにしている芸術家なんじゃ。

・毎日撮影しているカメラの話は現代だと成り立たない、今は防犯カメラもあるし。携帯だらけだよね。趣がなくなっている。

・これは20年以上前の古い話だけど、私に取っては今に全然通じている。住んでいる周りもまだこんな雰囲気のまま。とても好き。

・そもそも盗難カメラは誰が撮ったのか?実はおばあさんか?孫とは限らない。

・嘘を重ねていくのは面白い。しっかり作者の意図にはまってしまったように思う。うまい。しかも本当の話をしている人がいない?

・この本を読んで、アナスタシアが本物かどうかという本を思い出した。それも最後には本物かどうかはどちらでも良くなる。信じるならそれは事実になると思う。

・盗まれたカメラの気持ちになると、たくさん撮影してもらってカメラとしては本望じゃないか。カメラにとっては良かった。

・「誰か一人でも信じる人がいる限り、本当でない物語などありはしない」と言う言葉は、当時ほど響いてこない。SNSで嘘の悪用が多いから。

・映画があるからだけど、本文にはおばあさんが黒人と言う記載はないがおばあさんは黒人になっている。
まぁ実際この辺の地域は治安がよくなく、話しの設定の72年なら妥当か。かわいそうだと思っていたおばあさんも、そもそも実は名の通ったギャングなのかもしれない。

・この話が事実なのか作品なのかを考えるのは余り重要ではないのではないか?

などなど。
他の意見・感想も多数出ていたように思いますが、それぞれの着眼点の違いがとても面白かったです。
次は少し記録しても良いかもしれないなと思います。

ちなみに、ポール・オースターの「オーギーレンのクリスマスストーリー」は店内にて販売中です。
読んでみたい方はぜひどうぞ。

また、次回「山崎ブッククラブ」の開催は1月20日(土)を予定しています。
興味のある方はぜひご参加ください。次回の課題本は「これは水です」です。