説明
出版社 : ミシマ社
発売日 : 2023/11/23
単行本(ソフトカバー) : 160ページ
ISBN-10 : 4909394958
ISBN-13 : 978-4909394958
京都大山崎の本と編み物毛糸店
¥1,980
【第3回京都文学賞受賞作】
怪獣だって恋したい――。
現実に絶望する小日向さんと、千年を生きるゴンス。
「夜の京都」で出会ってしまった二人の運命の行方は?
儚くも、淡い希望が揺れては浮かぶ、新世代のファンタジー。
***
ビボう一、ぢブん から あい札 お スル こと
ビボう二、☺︎ が 大じ
……六つ目の、忘れたくないことは?
***
在庫1個
出版社 : ミシマ社
発売日 : 2023/11/23
単行本(ソフトカバー) : 160ページ
ISBN-10 : 4909394958
ISBN-13 : 978-4909394958
puolukka –
「佐藤さんは耳が良い」と言ったのは審査委員長だった、いしいしんじさん。彼女の文章は音が良く聞こえるとの選評だった。一方の僕は眼が良いとも。
実際に読んでみると、彼女は眼も良いんじゃないかと思えます。一応当店は、京都府にあるし、河原町辺りは良く行くものの、京都市内の地理に関しては、そこまで詳しくありません。でもこの本を読んでいると、市内の風景や土地の感じが分かります。もちろんフィクションですから作りこみがありますが、そこの京都がある気がします。場面が見えてきます。
実は僕はこの本がずっと怖かった。何しろ僕の作品が負けた話です。とびきり面白ければ、最終審査で争ったことが少々気恥ずかしい。で、もし全然面白くなければ、自分の作品はそれ以下だということになる。
話は(一応)ラブストーリーで、おとぎ話のようです。主役の女の子小日向さんと、無限に生きる変な妖怪と、それぞれの語りで交互に進みます。最初は話も文体もちょっとしんどいなと思えましたが、途中からどんどんギアが上がってきて、そこから感情が浮き上がってくるようになり、言葉が活き活きしてきます、登場人物の痛みが生々しいです。
実際に読んでみると「ちゃんと面白い」と思えました。ほんと、ちゃんと面白くて良かった。面白くて、「僕のしょうもない怖さ」は消えてくれました。荒っぽいところもありながらも、これは太鼓判が推せます。二回読める。
好きな出版社のミシマ社さんから出てるのがなお良しです。僕も面倒見てもらえないだろうか?(笑
第3回京都文学賞受賞作
(書店主)