十三の物語 / スティーヴン・ミルハウザー (著), 柴田 元幸 (翻訳) (白水社)

¥2,970

《匠の技巧が存分に発揮された、粒ぞろいの短篇集》

「オープニング漫画」「消滅芸」「ありえない建築」「異端の歴史」と章立て。「ミルハウザーの世界」を堪能できる傑作短篇集。

「猫と鼠」猫が鼠を台所で追いかけている。鼠はフロアランプを避けるべく二つに分裂し、猫は壁に激突、アコーディオンのように体がひだひだに折りたたまれ、そこから音楽が流れでる。猫は鼠との追いかけっこ、知恵比べで絶対に勝てないと分かっていながら、鼠を捕まえたい欲求がつのるばかり……鼠が赤いハンカチで猫の体を拭きとり、鼠も自らを拭きとりはじめ……。

アニメ『トムとジェリー』の楽しいドタバタを想起させるが、こうしてミルハウザーの手にかかると、息もつかせぬ速い展開と、細部にわたる滑稽かつ残酷な描写に翻弄されてしまう。とうていありえない状況にもかかわらず、「ミルハウザーの世界」に一気に読者を引き込む描写は、さらに凄みを増している。
ほかにも、周囲から無視しつづけられた少女の体が文字通り消える「屋根裏部屋」、バベルの塔をめぐるパロディ「塔」、森の向こうにある町への憧憬「もうひとつの町」、エジソンの助手による偽の日記「ウェストオレンジの魔術師」など。「オープニング漫画」、「消滅芸」、「ありえない建築」、「異端の歴史」の4部構成で、13篇を収録。

在庫1個

説明

出版社 ‏ : ‎ 白水社
発売日 ‏ : ‎ 2018/6/19
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本 ‏ : ‎ 296ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4560096341
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4560096345


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