デビッド・リンチ監督が亡くなりましたね、と、映画好きの生徒さんとお話。
『ツイン・ピークス』は見られましたか?と聞かれて、
むしろ『ツイン・ピークス』しか見ていないかも、とお答えする。

中学3年生、受験生の私。
まだ登場して間もなかったと記憶するWOWOW(配信の走りですか?!)で、
夢中で見ていました。
なんだこれは!全然意味が分からない!
で、それはもう夢中に。

登場する積み重ねられたドーナツ、コーヒー、そしてチェリーパイ。
テープレコーダー「ダイアン」に話しかけるカイル・マクラクラン(めっちゃかっこいい)。
思い起こせば、私の中のアメリカのイメージは、
結構『ツイン・ピークス』が大きいなあと。
ニューヨークやLAといった大都会アメリカの華やかなイメージよりは、
山、湖、ひんやりとした空気。
憧れでした。

ただ、デビッド・リンチの映画は怖そうで、他は見られなかったんですよね。
(後で思い出したんですが、『ストレイト・ストーリー』は観ていました。)
元々、結構感情移入してしまいがちなもので、
痛かったり怖かったりすると、自分へのダメージも大きく、疲れる。
同じことを生徒さんも話しておられて、分かるーと。

でもある時から、痛みや恐怖の「奥」を考えるようになって。
その物語に必要な痛みや恐怖。必ず必要なもの。
怖くて痛くて、どうしても直視できなくて、
薄目で見る時もあるけれど、
それでもそれを通り抜けて進んでいく、物語の中にはいたい。
その「先」を見てみたくて。

でもやっぱり怖くて痛いんですよね。
分かるー、の繰り返し。
繰り返し繰り返し。
それでいいんだろうな。

お話しながら、
今、読んでいる本『回復する人間』を思い出していました。
そんな1月18日。